夏の道に因んだ話
この絵の不思議なところ・・分かるかな? 季節は夏まっ盛り、路面に電線の影が落ちている。でも電信柱は数本有るけど電線が一本も無い。描き忘れた?ということは無い。始めは電線を3本ちゃんと描いていたのだけど消した。それなら影は・・消し忘れ? それも無い。路面の上の影は必要だった。夏の道路にくっきりと電線の影があるのは強い陽光の証明だ。 電線を消した訳は、広い空が真っ二つに切り分けられるから、それが残念なので電線は無いことにした。 私は車で山間部を走っていた時、狭苦しい谷間の道を抜けたと思った途端、パーッと空が開けて広大な畑と遠くに点在する農家の風景に感動した。空が広いことに自由感が湧いてきた。この地は私の勤務校がある地で数年この道を通うことになったのだ。 ある時、この道に沿って電信柱がポンポンと立てられて、あっという間に電線がピューと伸びてきた。それからは道路を走っても何の感激も無くなった。だって、広い広い空が一本の電線で2つに区切られてしまっては・・狭苦しさしか感じなくなった。 たった電線1本だけど、その影響は厳然とある。この絵の場所は違うけど、絵に電線を描くのを止めた理由はこういうことです。しかし、電線が「無い」と「有る」で感じが違ってくるので、必ず無い方が良いという訳ではない。