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ホックニー凄い!

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 ホックニーって凄い。現代アートの巨匠として名前は知っていた。作品も美術雑誌などで数点見たことがある程度だった。たまたま近くの図書館に行ったとき書棚に新しいホックニー画集を見つけて借りた。 ホックニーの著作で「秘密の知識」(巨匠も用いた知られざる技術の解明)という本が別の図書館にあるので後日借りてみた。 この本は古典絵画の巨匠たちの写生技法について解明しようとの調査状況?記録だ。まるで美術探偵だ。調査に当たった作品数が膨大である。中には本物の作品も見ているのだろうが、ほとんどは画集とか複製画を元に検証している。   油彩画の技法が確立された頃から古典時代までの巨匠たちの作画技法をホックニー流に解き明かしていく過程が凄いと思う。写生に光学機材を利用しているという前提に立って検証しているのだ。 古典時代の巨匠たちが光学機材を利用して描いていることが事実かどうかは不明だ。私が驚き感心するのはこの事ではなく、ホックニー自身がカメラ・ルシーダを使って写生したり凹面鏡を使って描くなど、実際の体験を通して検証する科学研究者のような姿勢だ。その執念に驚きを感じる次第である。ホックニーって面白い人だ。 (追記)絵を描く視覚というか技術というか何と言ったらいいか判らないのだが、ホックニーは「レンズを透した一つの目(単眼)」と「2つの目(双眼)」の違いと言っていることが、私にとってはまるで目からウロコが落ちたという気がする。 古典的絵画の時代から写実画は「レンズを透した一つの目」で描かれてきたが、印象派の頃から現代にかけて「2つの目」で描かれるヨーロッパ中世の頃の見方に還っているという訳だ。 前者は一点透視図法を主眼としているのに対して、後者は必ずしもそれに拘らない描き方で、具体的にいうとセザンヌの絵がそれである。リンゴの絵は多視点で描かれている。ピカソを代表とするキュービスムの絵はそれが甚だしい。  絵画の表現技術は、現在ITが加わって混合状態であるという。このような絵の見方を教えてくれたホックニーは実に天才である。 何度でも言う。ホックニーって凄い!!    図書館で借りた「秘密の知識」。汚れ避けのカバーが捩れていて邪魔な線がみえる。   ホックニーが検証に使った名画コピーの一部。壁に年代別に貼付けて検証に当たったらしい。

ホックニーとベーコン

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 デイヴィッド・ホックニーの絵はマチスを思わせる絵だと思う。 フランシス・ベーコンの絵は実に奇妙で一度見たら忘れない。2013年に豊田市美術館で開催されたベーコン展を夜行高速バスで観に行ったことが記憶に残っている。 ベーコンが1909年生まれでホックニーが1937年生まれだから28年の年齢差があるが、ベーコンが亡くなるのが1992年なので二人の芸術活動期は十分重なっている。 二人は会って芸術論や絵画論を話したりしていたのだろうか。   二人の絵のテーマは大きく違っているが、共に絵に暗さが無くカラッと乾燥している感じがする。そしてインスピレーションに素直に反応している。と言うか、インスピレーションに支配されているようにも思う。 もう一つの共通点は、平面に拘っているということ。拘わりという言い方は少し違うかもしれないが、奥行き感や立体感をすべて平面性に置き換えて表現していること、やはり平面に拘っているとしか言えない。このことで何が言いたいのかというと、現代の美術家は絵画の平面性をあまり重視していない人が多い。立体物を貼り付けたり平面性を無視して絵やら浮彫やら分からない作品になっている。ホックニーもベーコンもこのような傾向には全く無い。   ベーコンはこの世にいないが、ホックニーは現在も活躍中である。これからどんな表現を見せてくれるのか楽しみだ。 写真は共に画集から撮ったものです。許可を得ていないのですみません。